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令和3年2月10日 第204回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第1号

北極海航路の国民理解促進

三浦 信祐

公明党の三浦信祐でございます。
参考人の先生方には大変重要な御示唆をいただきまして、本当にありがとうございます。
まず最初に、池島参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
終わりにというところで、南極、北極、それぞれの課題と展望についてお話をいただきました。その中で、北極での国内的課題というところの御指摘をいただいていると理解をしております。
日本国民にとってみれば、南極といえば「南極物語」があったり、どちらかといったら、毎年必ず「しらせ」が行くという話もあったり、いろんな情報が入ってまいります。
一方で、北極の場合ですと、海を活用するというイメージよりは、どちらかというと、昔のアンカレジを通ってそのまま空路でヨーロッパに行くルートであるという一端にしかイメージを持っていないと、そういう背景もございます。今では大圏航路を使って、北極というところは余りイメージをしないという中での外交交流の位置付けにはなっている中で、このAC等での存在感の向上への国民的理解への高まりが必要であろうというふうに御指摘をいただきましたけれども、この入口、また、突破をするに当たっては、より具体的なことをしないと国民のメリットを感じにくい内容だと思います。
もう少しここを深掘りして教えていただけると大変光栄でございます。

参考人(池島大策君)

御質問ありがとうございました、三浦先生。
まさに、そこが私も今日の意見陳述の中で一番言いたかったことの一つであります。それが北極政策、国内の課題の中の筆頭に挙げたところなんですね。
北極で、我々研究者とか科学者、外交官、そういう者が何らかの形で関わって、北極評議会への関わりとか北極航路の在り方、それから観測事業についていろいろ言うのはいいんですが、それが実際に、じゃ、いわゆる一般国民にどう届いているのか、彼らにとってそれが何の利益になるのかということについて、やはり深い理解とそれに基づく支持がなければ、いわゆるタックスペイヤーとしての国民の本当のサポートは得られない。そこは、我々と、それからいわゆる北極評議会にいる八か国、中でも五の沿岸国は、まさに自ら、先ほどから申し上げているように、地域に根差した、直結しているわけですね。ただ、デンマークのように、グリーンランドが自国領だから、グリーンランドの場合と、そのデンマーク自身は少し離れたところで本国があるわけですけれども、そういう中にあって自国のその生活に直結したものだということが感じられないと、なかなか難しいということだと思います。
ですから、先生今紹介されたような「南極物語」とか「タロ・ジロ物語」のほかに「南極料理人」とか、そういうのがあると非常に身近に感じるような、南極の生活というものが我々の中にも親しみを持って感じられるところが南極についてはあるんですね。それは国家事業としてやはり観測事業をやってきたと。私も文科省の南極地域観測統合推進本部の委員をさせていただいて、外部評価委員等もさせていただいてきたので、そういうものを毎年年二回ぐらい観測隊を派遣をするときに、その評価その他で非常に如実に感じるところです。
まだ北極についてはそういう事業が成り立っていないと。ようやく、先ほどから出ているGRENE、ArCS、ArCSⅡまで来たと。これをいかにして事業の本格化を図り、それを南極に比するような形で、比較し得るような形に持っていけるかということが大事です。
じゃ、具体的にどうしたらいいのかというところが非常に難しいです。なぜならば、やっぱり大方の人にとって寒いということもありますけれども、あそこを通らなくても南の方から安全なところを回って航路を開発して輸送する方がはるかにいろんなメリットがあるんじゃないかと。三分の一、日数や費用をカットできるという議論もあるんですが、海賊はいないかもしれないと、ソマリアの近くとか、それからマラッカ海峡の辺り。でも、その寒さに耐え得るだけのインフラその他、それから仕様、訓練と、そういうものをやるコストというのはまだこれからなんですね。ましてや、砕氷船その他、それからいろんな役務をですね。
結局、ロシアの沿岸を通る、圧倒的にロシアに依存するという形をどう考えるかということですね。ロシアと友好関係を築けばいいということで皆さんが納得して日ロ関係が発展することがもちろん大事なんですが、それは、ある種の裏側では、じゃ、ほかの、先ほど言ったトライアングルの中で、日本はなかなか外交としても非常に機敏な、そしてちゃんとした、しっかりした軸のある形の外交を迫られることになるわけです。そういうものを国民に少しずつ共有して植え付けていってという形が教育の中でも必要なのかなという感じがしております。
以上になります。ありがとうございました。

三浦 信祐

ありがとうございます。

LNG発電と北極海航路の重要性

三浦 信祐

続いて、濱崎参考人に伺いたいと思います。
今年、日本では、大雪が二度ほど降ったときに、ブラックアウトを電力事業者が一生懸命回避をするために努力をされました。その中でLNGの発電が果たした役割というのは大変重要だったと思います。
そのLNG、中国とオーストラリアとの間での関係性でLNGの輸出の問題が影響した。要は、石炭を購入しない中国がいて、LNG化を図る中国がいて、世界的に相当な需要がある。もう一つは、スエズ運河も含めた輸送における二週間のディレーがあったりして日本にはLNGが届かないというリスクもあった中で、リダンダンシーを確保するという意味では、私は北極海航路をしっかりと開拓をすることは極めて重要だと。それがコストを削減をして国民的メリットになるというのは一事業者としてはなかなか難しいことだとは思うんですけれども、今後、そういう意味においては、世界において北極海航路というのは間違いなく注目されてくるだろうなという位置付けでありますけれども、投資に見合うだけの商業ベースに乗っていくかどうかということ、率直に教えていただければと思います。

参考人(濱崎和也君)

御質問ありがとうございます。
まず、年末のLNGの不足、いろいろ要因はございましたけど、ちょっとここは御質問の趣旨じゃないと思いますのでコメントを差し控えますけど、やはり日本にとってLNGの供給源を増やしておく、オプションを増やしておくというのは非常に重要なことだと考えております。その中で、北極圏からLNGがこれから増えていくというところの中で、そこのところを押さえると、それは北極海航路を押さえるということと同義でございますけど、非常に重要かなと思っています。
実際、ヤマルLNGプロジェクトを御紹介させていただきましたけど、あれは世界で初めての砕氷LNG船というところで、かなり未知のリスクがあったわけでございます。それで、我々、そこに参画している海運会社四つの中の一つでございますけど、なかなか、このお話があったときに、みんなができなかったと、いろんなリスクがあって、未知のリスクがあるのでできなかった中を弊社としてはチャレンジをしたというところはございまして、そういう意味で、事業のリスクに伴う、リスクをカバーするリターンというか投資収益が得られると見込んでやっていますので、そこの部分は大丈夫でございます。
そういうことで、かなり特殊な船になりますので、契約の期間も、LNGの船の期間って昔は二十年とか長期が普通だったんですけど、今、七年とか十年とかになっている中で、こういう特殊な船に関しては引き続き二十年とかそういうような契約が望める事業でございまして、そういう意味からでも、我々の海運業の、何というか、一つの新しいオプションとしてやっていきたいなと思っているところでございます。

気象情報提供の役割と展望

三浦 信祐

最後に、榎本参考人に伺いたいと思います。
日本は、六十年以上にわたって南極観測をずっとされてまいりました。極地を観測するということにおいては、世界の中でもトップランナーだと思っております。その上で、北極海航路を安全に、そして、何も我が国だけではなくて、世界中の国々がその安全に航行するという機会を提供することが世界にも極めて重要なことだと思います。
そういう意味では、気象情報の提供する体制、当然、観測して研究するって当たり前ですけど、その情報を的確に共有できるかどうかというところが今後のACの位置付けにおいても日本が果たせる役割だと思いますけれども、このことについての展望、お伺いできればと思います。

参考人(榎本浩之君)

御質問ありがとうございました。
大変重要なところですので、答える機会与えていただき、ありがとうございます。
北極圏には気象観測ステーションほとんどありませんで、非常に少ないものを使いこなそうというふうにやっています。そこにまず日本関わっていまして、日本が例えばロシアに観測機器を提供して、ロシアの方で観測してデータを国際機関に提供してもらう、そういったところも入ってきまして、そうすると、そこのデータはロシアだけの情報じゃなくて北極海全体のデータの向上につながると、中緯度にもつながってくるというところはあります。
そのデータを使って、あるいは「しずく」衛星とかの衛星画像を使って、かなり正確な海氷の分布状況と予測という、それと気象データを組み合わせてという情報づくりをまずやりました。
それで、研究者が研究室で見ているだけでは役に立たないので、その情報を氷海を航行する船に提供すると。商船三井さんにも情報を船に提供し、あと、南極観測船の「しらせ」にデータを直送します。あと、「みらい」、北極に出かける観測研究船の「みらい」にもデータを直送する。で、現地で見ている情報と実際のその予報情報、日本から提供している情報の比較をしていただいて、より精度を、問題点を指摘してもらう、で、精度を上げていくというプロセスが結構進んできていまして、例えば南極に向かう「しらせ」の航行ルートの選択、効果的な昭和基地への接近というところもそれでうまくいっています。
「みらい」も、北極海でどこを観測してどこからは退避すべきか、そういったところの情報も入れていまして、まだまだ研究ベースのところがあるんですけれども、そこの信頼性が結構高まってきていまして、それが海外からも見えてきています。日本はそういうシステムを持っていて、まだ提供している船舶数は少ないけれども、そういったメリットを出しているみたいだと。海外の方からも、うちの国の船にその情報をもらえないかということが問合せを受けたりをしています。
まだまだ研究段階なので、それを信頼して事故が起きて、どうしてくれると言われても困るんですけれども、そういったところの技術は今急速に日本築いていって、北極を通る船舶にも提供できる時代が来るということを期待しています。
以上です。

三浦 信祐

ありがとうございました。